ノルウェーの森 

    
 
 


 さて、この旅のハイライトは、
 ソグネフィヨルドです。
 ソグネフィヨルドまでは、片道4時間。
 まずは、ベルゲンからローカル列車に2時間乗って、
 ふもとの街ミュールダールまで行きます。
 
 前日にベルゲン中央駅を下見し、
 前売り乗車券を買い、
 列車に乗る練習をしました。
 
 ところが当日朝、起きると、どしゃ降りでした。
 いやその前に、友人Mは、
 部屋のカーテンを朝5時に全開しました。
 不機嫌になる私。
 
 で、このいやがらせを解明すると、
 友人Mの腕時計は、6時だったのです。
 私のスマホは、5時。
 
 すなわち、フィンランドとノルウェーには、
 時差が1時間あったのです。
 友人Mの腕時計は、フィンランド時間のままでした。
 白夜なので、時差なんて、
 みじんも考えなかった私たちです。
 
 朝5時に起きましたが、
 友人Mが、「雨がすごいから、駅までタクシーで行こう!」
 と言うので、列車の時刻30分前に部屋を出ました。
 フロントで、Can you call us a taxi?と言いました。
 
 ちなみに、これでは、
 「私たちをタクシーと呼んでください。」です。
 すなわち、I am a taxi.なわけです。
 正しいのは、Can you call a taxi for us?です。
 むしろ、タクシープリーズ! でよかったでしょう。
 私の英語力は、こんなもんです。
 
 まあそんな変な英語で、
 タクシーを呼んでもらいました。
 ところが、15分待っても、タクシーが来ません。
 
 フロントで再度呼んでもらいましたが、
 やはりタクシーは来ません。
 もう、歩いて行っても、間に合いません。
 
 ローカル列車に乗り遅れたら、
 ソグネフィヨルドはアウトです。
 「イミージアットリー!」と言うスタッフに、
 「もうええわ!」と、大阪弁で言い捨て、
 雨の中を走り出しました。
 
 少し走ったところで、
 うしろからタクシーが追いかけてきて、
 拾ってくれました。
 あとは、カーチェースです。
 駅のホームへ全力でダッシュし、
 列車に、滑り込みました。
 
 ギリギリで乗ると、すでに座る席がありません。
 動いている電車の車両を
 何両も歩いて、トイレの前の、窓がない席が、
 やっと見つかりました。
 
 中国人の団体客が、ワイワイ騒いで、
 ほんと、居心地が悪く、外の景色も全く見えません。
 だいたい、その日がメインなのに、
 どしゃ降り、てどういうことでしょう。
 
 後で冷静になって考えると、
 2万人の観光客のうちの1割が、
 その朝に帰るために空港に向かったとして、2000人です。
 ベルゲンには、もともと100台くらいしか、
 タクシーはないでしょう。
 
 すなわち、どしゃ降りの朝は、空港行きがドル箱です。
 駅までの1メーターの客なんざ、
 あとまわしですよ。当然です。
 
 「きっと乗車拒否されたんだよ」と、友人Mに言うと、
 「でもそれ、フロントの人は、
  『雨が降っているから、すぐには来ませんよ』
  て、言ってくれていいんじゃない?
  ひろ、『地球の歩き方』に投稿して!」
 
 え?そこですか?
 

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